学会発表における効果的な質疑応答対策【これで質疑は怖くない!】

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大学院生
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来月に学会発表があるんですけど、質疑応答が怖いです。

大学院生
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質疑応答は何回かやったのですが、自身がなくて……。
いつも変な空気になってしまいます。

そんなあなたのために、今回は「学会発表における効果的な質疑応答対策」について共有します!私は学会でポスター賞を2回受賞、そしてプレゼンで勝敗が決まる奨学金返済免除申請において、修士・博士共に免除をいただいています。質疑応答がうまくいくかが発表の善し悪しを決めると言っても過言ではありません。質疑応答の対策方法を一緒に見ていきましょう!

質疑応答が上手くいかない原因

自分の研究内容がよく分かっていない

こちらは特に修士の学生にありがちです。先生に言われた実験をやってデータを出したけど、目的や詳細な実験手法の原理などが分かっていないパターンです。知識不足なのもあり、質問の意図を掴むことも難しいことがあります。そして質問の意図が分からないまま、なんとなくで色々知っている単語を並べて答えようとするも……この先は皆さん想像できますよね。一番、辛いパターンです。

質疑応答に慣れていない

質疑応答に慣れていないと、言葉に詰まってしまって変な空気になることがあります。質疑応答では、分からないときや、困ったときにも「うまく」伝える必要があります。その方法については後ほどご紹介します。

質疑応答に必要な知識が不足している

こちらは自分の研究内容は理解しているものの、知識が少し不足しているパターンです。聴衆の専門や背景、興味は様々ですので、質問の種類も多岐に渡ります。自分が研究を遂行する上で必要な基礎知識が頭に入っていたとしても、質問に対応できないことがあります。それを防ぐために、質疑応答集を作成することをオススメしています。質疑応答集作成のヒントは後ほどご紹介します。

質疑応答を改善する 4 step

研究内容を理解する

実は研究内容がよく分かっていないんだよね……という方は、まず研究室の先輩や先生に時間を取ってもらい、徹底的に分かるまで教えてもらいましょう。「なぜこの研究をやる必要があるのか?」「この研究で何を達成したいのか?」あたりが明らかになると良いですね。過去の関連論文から自分の研究の立ち位置を理解することも必要ですがまだ難しいですし、まず日本語で聞いて理解した方が良いと思います。

また、実験のために手を動かすということも大切ですが、定期的に振り返り、研究テーマの大きな目的、実験目的、行った手法や原理をしっかり確認することをオススメします。実験ノートを書く時など、日々考える習慣をつけておくと良いです。これが出来たら、次のステップに行きましょう!

質疑応答のよくあるパターンを知る

質疑応答のよくあるパターンを紹介します。もちろん的確に答えられるのがベストですが、困った時にはこれらを駆使していきましょう。また、先輩の質疑応答から、返答の方法を盗んでくるのも良いでしょう。

・知識不足で答えられない
→「すみません、知識不足で分かりません。調べておきます。」

・○○の実験はやってないの?
→「やっていません。~だからです。(理由を言えると尚良い)」
→「なるほど、まだやっていないのですが、その実験はやっておくと良いですね。今後の実験に組み込みます。」

・ドンピシャの回答は持っていないが、関連事項なら分かるというとき
→「直接的な答えにはなっていないと思いますが、○○に関しては~という報告があり~……」

・話しながら方向性が逸れたと感じたとき
→「答えになっていますでしょうか?」※1つ上のパターンと併用すると良いです。

質問の意図が掴めなかった場合は、聞き返してもOK!
コメントと質問が一緒になっているなど、質問の意図が分かりづらいことが多々あります。そのような場合は、「~という質問で合っていますでしょうか?」「もう一度質問内容を伺ってもよろしいでしょうか?」と聞き返して大丈夫です。落ち着いていきましょう。

質疑応答集を作る

ステップ3つ目では、いよいよ質疑応答集の作成に入っていきます。質疑応答はできるだけ多く考えると良いですが、学会発表だと30個程度、博士の最終審査だと100個以上考えられると良いですね。論文作成時には「心の中に査読者を」と言われることがありますが、発表準備においては「心の中に聴講者を」という意識で行いましょう。具体的に言えば、基礎~応用まで様々な角度からの質問を網羅する意識で作成しましょう。完璧はありませんが、質疑応答の戦闘力が格段にアップします!

質疑応答集の作成tipsは本記事の最後にご紹介しています。

アウトプットの練習をする

最後に、私が大事にしていることを紹介します。「質疑応答集のアウトプットの練習をする」ことです。質疑応答集を作り、関連知識が増えてきたことと思います。しかし、質疑応答集を作るだけでは、質疑応答の時にさっと答えを出すことは難しいでしょう。分かった気にはなったけど、いざとなればアウトプットできないということは英語学習など、他の分野でも見られる現象です。質疑応答でカッコよく質問に答えるためには、アウトプットの練習が不可欠です。質疑応答集の答えの部分を隠した状態で質問に答える練習を行っておきましょう。できれば声を出して行うことをオススメします。

質疑応答集の作成tips

質疑応答の質問例 15個

質疑応答集の質問が思いつかないよ……という方に向けて、質問例をこちらに紹介します。自分の研究に当てはめて考えてみましょう!

①研究の目的は?
②実験の目的は?
③先行研究ではどこまで分かっている?
④研究で重要となる概念に関して補足説明はある?
⑤なぜその実験手法をとったのか?
⑥実験の標的分子の構造や働きは?またそのメカニズムは?
⑦この実験では、どういう結果がでると期待していたのか?期待通りだったか?
⑧他に行うべき実験はあるか?やっていないならその理由を答えられるか?
⑨実験方法の詳細な原理は?
⑩実験にアーチファクトは存在していないだろうか?
⑪グラフの縦軸の1.0は何を示している?
⑫実験結果に他の解釈はないだろうか?
⑬実験結果を説明できるメカニズムは何か?もしくは先行研究では説明できない現象なのか?
⑭今後、この研究をどのように広げていくつもりなのか?
⑮将来どのような応用を期待しているのか?

まとめ:質疑応答集を作って、質疑応答への不安を払拭しよう!

質疑応答集の作成を通して研究に関する知識がつくと、発表に自信が持てるようになります。不安は「行動」で解決していきましょう!皆さんの学会発表がうまくいくことを祈っています!

本ブログでは大学院生活の参考になるような情報をこれからも更新していきます。ぜひ X (旧Twitter) をフォローして、ブログの更新を待っていてください!

この記事を書いた人
shion

shionと申します。旧帝大の生命科学系ラボにて博士号を取得し、製薬企業の研究職として働いています。大学院tipsや英語学習について発信していきます。

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