博士課程の就活で成功するための具体的な準備方法と心得【大手製薬企業研究員が解説】

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博士学生
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「アカデミアではなく企業就活しようと思うけど、何から始めればいいの?」
「博士は就職できないって聞いたことがあるから心配……」

博士課程で企業就活する人なら、一度は気になりますよね。

この記事では、博士2年の博士早期選考において大手製薬企業の研究職の内定をもらった私が、具体的に何を考えて・何を行っていたのかを紹介します!

早期選考は非常に狭き門と言われています。しかし、諦めることはありません。
一緒に内定への道を切り拓いて行きましょう!

博士における就活の現実

大手企業では積極的な博士採用が行われている

博士は就職できないと言われることもありますが、大手企業では積極的な博士採用が行われています。大手企業では博士採用のための枠が用意されており、博士人材が求められていることも明らかです。私のオススメは、博士採用の枠が用意されている企業を狙うことです。博士人材の価値を分かっている企業なので、自分のこれまでの経験や知識を生かせる可能性が高いです。

製薬系は早期採用がさらに早期化している

製薬企業の博士選考では、博士2年からの早期選考が行われています。選考は年々早期化しており、5月や6月からESを提出する必要があります。人によっては学振の時期と被ってしまうので大変かと思いますが、両立して取り組むことが必要です。早期採用で内定をもらうことができれば、7月や8月には就活が終わります。まずは短期間に集中して取り組むつもりで頑張ることをオススメします。早くに就活が終わるとその後の研究を進めやすくなるので、査読付き論文の準備に時間をかけることができます。

狭き門だが、諦める必要はない!

大手企業において博士人材が求められていますが、非常に狭き門であることも事実です。しかし、諦める必要はありません。自分の研究内容や性格をアピールして採用担当者の目に留まれば、大手企業からの早期内定をもらえることも夢ではありません。一緒に頑張っていきましょう!

就活における心得3つ

使えるものはすべて使う・他の人に頼る

博士の就活において大切なことは何でしょうか?それは「効率的に就活をする」ことです。博士は常に実験や研究発表に追われています。さらに、博士は査読付き論文を受理されないと学位が取得できないということもあり、焦りもあると思います。そのような環境において、就活に取り組む「時間」や「脳のリソース」は最低限にしたいですよね。そこで私は、「就職活動のプロや経験者を巻き込んで就活すること」をオススメしています。未だ取り組んだことのない就活に一人で立ち向かう必要はありません。周囲の方に頼りながら行うことで、正しい方向性での努力と時間の使い方ができます。ぜひ、色んな人に頼りながら、そしてこのブログも参考にしながら就活を乗り切っていただければと思います。

落とされてもめげずに就活を続ける

先ほども述べたように、博士の早期選考は狭き門となっています。一部の非常に優秀な、もしくは非常に運の良い方を除けば、一発で内定をもらえることは稀でしょう。企業からのお祈りメールが届いた時には落胆してしまうと思います。一生懸命書いたESや研究概要にNOを突きつけられた気持ちになるのは私もよく分かります。ただ、ここで「就活へのパフォーマンスを落さずに次に進むこと」、これができれば内定への道は拓けます。早期選考では短期間で多くの会社を受けることになるため、前の結果を引きずっていては次も良い結果がついてきません。逆に、気持ちを切り替えて次に進めれば、すべてのチャンスに挑戦することができます。お祈りメールが来たら、早めに切り替えて行きましょう。

1位通過を目指す

就活においては「1位通過」を目指しましょう。博士選考、特に製薬企業の研究職は非常に狭き門です。各部署での採用人数が一桁ということもあります(研究職というくくりであれば、数十人だと思います)。その中で内定をもらうには、かなり上位にいなければなりません。1位通過を目指せば、おのずと行動に変化が生まれます。実際には運もありますが、チャンスをものにし内定を掴むためには1位通過を目指して行動することをオススメします。

私は就活を始めた時に「絶対内定」という本を読み、就活へのモチベーションが爆上がりしました。後半の自己分析集は長すぎるので、前半を流し読みするだけで構いません。就活への意識が変わります。

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博士就活で利用すべきツール7選

キャリアセンターの相談室

キャリアセンターの相談室では、就職のプロのアドバイザーの方と一対一でお話をしながら、ESの添削や面接練習を行うことができます。私はESを書くたびに持っていき、なぜこう考えたのか?どうしたらもっと自分にしか書けない文章になるのか?と議論しました。他の人と話し合うことで、自身の考えがより深く、統一感のあるものになりました。一つデメリットとしては、アドバイザーの方は研究の分野が異なることが多いので、研究概要に関してはあまり参考になりませんでした。「いいね!」と褒められるだけでした(笑)。研究概要に関しては、同じ分野の方に見てもらうことが必要だと思います。

学内の就活セミナー

学内の就活セミナーにも参加しました。企業の方と直接お話できる機会があるものが良いと思います。私は就活セミナーで人事の方と直接お話しし、推薦制度の詳細を伺うことができました。実際には推薦制度は利用しませんでしたが、そこでしか得られない情報があるので、興味のある業界・企業が参加しているセミナーには顔を出すのが良いと思います。

アカリク就職エージェント

アカリク就活エージェントでは、企業の紹介や選考対策を行ってもらえます。私は企業の紹介システムは利用しませんでしたが、就活アドバイザーの方と2回程度面談を行い、面接練習を行いました。質問に対して咄嗟に言葉が出てこないことに気付いたため、実際の面接前の自主練習に気合が入りました。アカリクは理系学生の登録数・利用率No.1の就活サイトですので、安心して利用できると思います。

キャリアセンターの就活講座

キャリアセンサーでは学内向けに、就活講座を行っているところがあります。私はグループディスカッションと集団面接の練習で利用しました。グループディスカッションに関しての情報はネット上にたくさんありますが、実際にやってみることが重要だと思います。ブログ等に書いてある定石通りに進むかと思いきや、他の参加者の流れに合わせながら自分の意見を主張する場面がでてきたり、話が全然まとまらなかったりと、色んなことが起こります。一部の製薬企業ではグループディスカッションがありますので、経験しておくと良いと思います。一方、集団面接練習には参加しましたが、実際に受けた企業で集団面接はありませんでした。こちらは省略しても良いでしょう。

ココナラの添削サービス

研究概要の添削、ESの添削(1社のみ)、技術面接プレゼンの添削と模擬面接、プレゼンに対する想定質問でココナラを利用しました。ココナラを利用するメリットは2つあると思っています。

1つ目は、「同じ分野で専門が異なる人の意見を聴けること」です。博士の就活では、人事の方だけでなく、研究に携わっている方も面接にいらっしゃいます。研究員の方は、例えば化学、生物化学のように大きく見れば分野は同じですが、専門は異なると思います。そのような方にも伝わる研究概要やプレゼンを作成するためには、ココナラは非常に良いツールだと思いました。「就活 研究概要」などで検索すると、サービスを提供している方の情報が出てきます。大学院時代の研究分野が近い方を選んで申し込むことをオススメします。

2つ目は、「企業目線での意見を聴けること」です。実際に企業で働いている研究員の方目線での意見をいただくことは、就活にとっては貴重な機会です。事前に想定質問をブラッシュアップすることができます。

研究室の先輩に頼む方もいらっしゃると思いますが、アカデミア目線での指摘が多くなると思います。また、同じ研究室だと専門が同じになるので、自分たちにとっての「当たり前」が他の方に伝わらない、ということを見逃す可能性もあります。そのため企業研究者の方が行っているサービスを利用するのも手だと思います。

アウトスタンディング

アウトスタンディングは、就活サポートサイト encourageが主催している、社会人プロ講師によるオンライン就活LIVE講座です。土曜日の18:00-21:00と長い時間が持っていかれますが、最後の5週間だけ参加していました。講座が前半後半に分かれており、間に1時間ほど企業紹介が入ります。企業紹介は恐らく理系博士には関係のなさそうな企業ですので、Zoomを繋いだまま他の作業をしていても良いでしょう。講座に関しては密度が高く、すべてを吸収するのは難しいです。しかし、質が良いので参考になる情報は非常に多いです。少しうさんくささもありますが(参加すれば分かります)、参加して損はない講座だと思います。就活の後押しをしてくれます。

家族、先輩、後輩、友人

就職活動を始めた頃に、他己分析をしてもらいました。自分でGoogleフォームのアンケートを作り、様々な項目に当てはまるかどうかを選んでもらいました (積極性やリーダーシップなど約30項目)。その結果と自己評価を合わせ、ジョハリの窓を使ってまとめました。そして、できるだけ「解放の窓」を自己アピールできるよう考えました。また、アンケートには私の性格の良いところと悪いところを書いてもらいました。複数人に依頼すると似たようなコメントが来たため、客観的に自分の性格を分析できアピールすべきポイントが明らかになりました。

ジョハリの窓とは? 自己分析に使われるツールです。自分の性格や性質について、「自分が認識しているかどうか」と「他人が認識しているかどうか」の2つの軸を用いて、4つに区分します。解放の窓、盲点の窓、秘密の窓、未知の窓に分けられます。

早めにやっておくと良いこと2つ

TOEICでハイスコアを取る

学部生じゃあるまいし……と思うかもしれませんが、もし少しでもグローバルなことに興味があるのであれば、ハイスコアを取っておくことは有効だと思います。私はTOEICに関しては継続的に取り組み、博士後期課程1年の1月には満足のいくスコア(910点)を取っていました。本格的に就職活動に取り組む前までに取得しておくのが良いと思います。もし英語が苦手な方でも、努力の過程を話すことができるのでおすすめです(私は一次面接で聞かれ話す機会がありました)。

TOEICの学習法についてはまた別の記事を投稿予定です。

Webテストの勉強

博士の就活においても、Webテストは避けて通れません。一通り、学習しておきましょう。私はテストセンターと他のWebテストがあることを知らずに、色んなWebテストの内容を網羅した本を使っていました。結局、企業別に様々なWebテストを受ける必要があるので、その本を使って良かったと思いました。私は2月に本を購入してから数か月放置してしまい直前に焦ったので、コツコツ勉強しておくことをお勧めします。

Webテストの勉強にはこちらの本をオススメします。様々なWebテストを網羅するように作成されているので、時間の無い博士にはぴったりだと思います。

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就活で最も大切なこと

自分の行動を裏付ける考えと人生ストーリーを明確にする

これ、とても大事です。例えば、「博士まで行ったのになぜ、アカデミアではなく企業就職するの?」という質問があったとします(実際によく聞かれます)。人によっては、「お金が欲しいから」や「アカデミアでやっていけるか不安になった」ということもあると思いますが、就活では適切ではないので上辺だけの答えになりがちかと思います。そのような質問に対応するために、今まで自分が「何を目指して」「どのような選択をしてきたのか」そして、その信念を踏まえて「今度は企業で何をしたいのか」まで一本筋で答えられるようになると、納得感があるので人事の方にもその気持ちが伝わります。また、このようにじっくり考えていくと、自分の人生における目的が明らかになり、ポジティブな気持ちで就活に取り組むことができるようになりますし、就活後の人生にも良い影響を及ぼすことは明らかです。

私は、キャリアセンターの相談室で話し合ったり、エントリーシートを書いたりする中で明確になっていきました。「○○をやりたい」という思いは持っているけれど、その理由は何なんだろう?そしてその原体験は何だったんだろうか?ということを考えていくと良いです。これまで言語化できていなかった自分の人生の目的が見つかると思います。

まとめ:周りの人に頼りながら、自分の人生にとって最高の内定を手に入れよう!

博士就活は周りの人やサービスに頼りながら効率的に行い、自分の人生の目的を果たせるような最高の内定を手に入れましょう!

本ブログでは博士就活の参考になるような情報をこれからも更新していきます。ぜひ X (旧Twitter) をフォローして、ブログの更新を待っていてください!

この記事を書いた人
shion

shionと申します。旧帝大の生命科学系ラボにて博士号を取得し、製薬企業の研究職として働いています。大学院tipsや英語学習について発信していきます。

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